インタビュー

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コンテンツ分野の施策の現状と株式会社NTTドコモ様の取り組みについて

経済産業省 近畿経済産業局
産業部 サービス産業室長 コンテンツ産業支援室長 高木英彦氏

株式会社NTTドコモ 関西支社
マーケティング本部長 マーケティング本部 サービス企画部長 副田則行氏

平成20年10月2日現在

第一回目となる今回は、関西のキーマンお2人をお迎えし、対談という形でコンテンツ分野の施策の現状と株式会社NTTドコモ様の取り組みについて、お話いただきます。

まずお伺いしたいのですが、"コンテンツ"という分野について国の指針などをご紹介いただけますでしょうか。

高木:コンテンツ分野に対して国の本格的な支援が始まったのは最近のことなんです。今年改定された経済成長戦略の中でも取り上げています。今まで以上に"コンテンツ"をしっかりと応援していこうという動きに全体が移っております。知財の問題は、"コンテンツ"とは切っても切れないもので、総理が本部長でもある知的財産戦略本部、こういった一番高いところからコンテンツ産業の位置づけをさせてもらうということで、今まで以上に幅広く、また力強くコンテンツ支援をしていきたいと考えております。
また知財面でのアプローチに加え、コンテンツが"技術"によっても素晴らしいものになるという考え方もあります。経済産業省では、コンテンツ技術の戦略マップというものを策定し、ハード系の技術はもちろん、コンテンツを人間の感性に訴えかけてくるものと捉え、ソフト面での発展との両輪でコンテンツ制作を支援していくスタンスです。
また、この9月30日から東京を中心に第2回目の『ジャパン国際コンテンツフェスティバル(通称「コフェスタ」)』が始まり、映画や漫画、アニメ、演劇などのコンテンツに関わる行事を一つの時期に集め、集中的に世界に発信していこうと取り組んでおります。関西でも『クリエイティブ・インダストリー・ショーケース2008』を開催し、産業面でのコンテンツ利活用もターゲットとしたコンテンツの祭典になっています。事業者に対しての補助は中小企業施策で対応していますが、私どもといたしましては『ロードマップ』『コフェスタ』などで2年間、コンテンツを応援してきた次第でございます。

副田:ドコモとしましては、モバイルコンテンツを使えるようにするというのは、ケータイの利便性を高める手段の一つだと考えておりまして、iモードなどのコンテンツそのものでビジネスをしようと考えているわけではないのです。ドコモはあくまでキャリアとして、コンテンツを提供されるIP様とお客様の間をかけ持っているというのが基本的なスタンスで、最初にiモードを始めた頃から、(ドコモが)お客様に直接コンテンツを提供し、ビジネスをしようというモデルにはしておりませんでした。基本的に、IP(コンテンツプロバイダ)様に自由なビジネスを展開してもらうため、キャリアが資本力をもって、(コンテンツの提供者としてのビジネスに)強制的に参入するのは極力避けてきたのです。
昔、NTTが『キャプテン』というサービスを展開し、キーボードを使って直接情報を提供するというプロジェクトをやったことがあるのですが、恥ずかしながら失敗してしまいました。ビジネスモデルとしては、NTTが情報を自ら作成して、直接お客様に提供する、それでお金をいただくというモデルで進めていたのですが、この、NTT1社がコンテンツを提供するというモデルでは、コンテンツに発展性(ひろがり)をもたせることができなかったということがありまして、失敗に終わってしまいました。その教訓を糧に、NTTドコモは、iモードを提供するにあたって、コンテンツプロバイダとお客様を取り持つというビジネスモデルに集中するようになりました。

 

国がコンテンツを支援する流れになってきたことは、どう感じてらっしゃいますか?

副田:非常に歓迎していますね。モバイルコンテンツに限らず、コンテンツとは、いかに創造するかだと思うんです。玉石混交のさまざまなコンテンツが生まれ、それらをどうやってお客様に届けるかという試行錯誤を繰り返すことにより、モバイルは発展していくのです。コンテンツがたくさんあればあるほど、ビジネスも展開していく。だからこそ、より楽しく、よりニーズの多いコンテンツを次々に生み出せる環境を作るために、国も我々も力を注ぐ必要があると思います。

 

次に、NTTドコモの取り組みをお伺いしたいのですが。モバイル技術が革新しているのか、もしくは衰退しているのかも含めて、詳しく教えていただけますか?

 

soeda.jpg副田:基本的にはモバイル業界は今も発展していると認識しています。関西地域で言うと、平成3~4年にはドコモのお客様は20~30万人だったのが、平成20年の現在は850万人にまで伸びております。ケータイの普及率も9割に達し、今後は、お客様の数としては、大きく伸びないとされておりますが、モバイルのコンテンツについては、まだまだ、お客様自身がコンテンツを身近な生活の中に取り入れていく余地が十分にあるように思います。ですので、今あるコンテンツだけではなく、リッチなコンテンツをいかに使っていただけるかということに力を注げば、必ずプラスに転じてくると思います。

高木:まさしくそれは、コンテンツ産業の発展に必要な基本的な仕組みやビジネスモデルがデザインされている、ということだと思いますね。iモードができたときには、まだ「便利なものができたな」という印象だったと思うんです。その上で、iモードが素晴らしかったのは、オープンな仕組みにされ、ユーザー側の「もっとこうしたらおもしろい」「こうした方が楽しい」というメッセージを受け取り、プラットフォームを使いながら自由に設計ができる環境を作られたということだと思うんですよね。自由ということは、そこに楽しさが生まれる。そして心に訴えかけるものがあったからこそ発展していく。
画面がカラーになり、精細な画像になり、通信速度が上がることによって、さらに楽しさも倍増される。そして、感性に訴えかけるコンテンツを携帯電話から受け取ることができる仕組みが完成されているのは、とても素晴らしいことだと思います。

 

携帯コンテンツが発展するというのは、関西にとってはどういうメリットがあると思いますか?

副田:個人的に見ると関西のお客様は全国的に見ても先進性があると思っています。例えばiモードは全国的に普及しはじめたのは関西からでしたし、おサイフケータイというケータイクレジットも関西からスタートをし、新しいものや使い勝手がいいものはどこよりも早く着目されているなと感じています。また、比較的お金には厳しいという地域の特性もおもしろいところ。新しい物が好き、お金はきっちり使うという気質があるからこそ、新しいコンテンツは最初に関西から出てくるということが期待できるのではないかと考えています。

 

ドコモの今後の取り組みとして、進めてらっしゃることはどんなことでしょうか?

副田:コンテンツは、IP様がそれぞれの企業特性を活かしたものを提供していくものだと考えているので、ドコモがコンテンツの方向性を主導するものではないと考えております。ドコモは、IP様がお客様のニーズにあったコンテンツを作ることができるように応援し続けます。ドコモの取り組みとしては、お客様の不利益にならないようにIP様にコンサルティングをしていくということ、それが私たちの仕事だと思っております。
もう1つはケータイそのものの技術がプラスアルファで進んでいくことも重要だと思います。次世代のケータイ技術なども、通信速度の革新的な進歩も、数年のうちには進んでいくと思いますし、ケータイクレジットも関西だけで170万人のお客様に契約を結んでもらっております。ですので、コンテンツと決済手段の融合をはかり、利便性の向上を追求していくということが今後の展開の1つだと思われます。
また、グローバル化も進めております。現在、170カ国で通話が可能であり、133カ国でiモードを使うことができるようになっております。コンテンツについても、今後はどんどん広がり、日本だけでなく、世界中のコンテンツもケータイの中に入っていくでしょうね。リッチコンテンツが今以上に増え、ケータイの中にそれが入っていく。それこそが、ドコモが目指す今後の発展ではないでしょうか。

高木:関西の大学や教育機関から輩出される人数は、東京とほぼ同じくらいだといわれています。しかし、その半分が東京へ就職をしてしまう現状もある。最も大きな要因は就職先がないということであり、その先にはビジネス量が少ないということが見えてきます。それをなんとかしなければならないということが、関西が抱える大きな課題だと思います。東京にはその問題はなく、私たちも、少しずつでもビジネスのチャンスを増やし、この状況を打破していきたい。だからこそ、人材の輩出元の大学と連携を進めて、一つ二つと事例として積み上げながら、トップランナーを育てて、皆さんの目に触れるようなモデルを作りあげていきたいのです。

 

大阪には、ODCC(大阪デジタルコンテンツビジネス創出協議会)があり、100社ほどの民間団体や行政団体の集まりがありますが、どういう風に活用していくべきだと思いますか?

 

takagi.jpg高木:基本的には日本の企業は、世界的に見ておとなしい印象があります。海外の企業からは、商売に積極的ではないと見られることもあるくらいですね。だからこそ、ODCCはグローバル化が進んでいない現状をふまえ、会員が内外の事業者と積極的に自由にビジネス交流を行えるような環境を提供してもらいたいですね。クリエイティブ・インダストリー・ショーケースの中にもある『クリエイティブビジネスフェア2008』なども積極的に活用していただきたいものです。関西には、コンテンツ企業が東京に次いで多いということもあります。地域の広がりを逆に利用する形で、ODCCにも活動を展開できる仕組みを作っていただきたいですね。

副田:モバイルコンテンツを発展させていくには、コンテンツ自身が発展しないといけないんです。だからこそ、関西地域でコンテンツを生み出し発展させることができる土壌、仕組みをODCCには作ってほしいですね。関西にはコンテンツがたくさんあります。しかし、それをビジネスにできる場所が不足している。つまり、コンテンツ企業のパートナーがなかなかいないという現状があるんですよね。それをODCCという企業の集積地で企業の輪を作り、大阪はもちろん世界とつながっていけるようにして欲しいですね。そのための情報や流通を生み出す役割を担っていただきたいと考えております。

高木:ビジネスの種はたくさんあります。大企業の皆さんも、会社の中の仕事やコンテンツ、営業用ツールなどへの活用による効率UPなどに、もっと注目されても良いと思います。この分野は未開拓なので効果は劇的に現れることが予想されます。コンテンツ企業は、携帯でのビジネスコンテンツを生み出し、最終的には消費者の心に感動を届けるとともに、携帯以外のコンテンツにも目を向け、ビジネスモデルとともにコンテンツを提案してほしいですね。関西もまだまだこれからです!関西の人にももっともっと頑張ってほしいものです!

 

取材・執筆:中川 悠

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